テクニカルコラム かんたん♪ZFS
第一回:ZFSの特徴(2009年10月22日発行)

  秋本番♪ 皆様いかがお過ごしでしょうか?

  このコラムでは、皆様がよく使われているファイルシステムと ZFS の
  違いをケーススタディをもとにご紹介していきます。

  今までのファイルシステムとは一味違う ZFS を活用して面倒なファイ
  ル管理の苦労を減らしましょう!

 -------------------------------------------------------------------

   Z株式会社は関西に本拠を置く社員三百人のシステムインテグレータ
  です。その情報システム部で社内システムの管理を担当しているAさん
  の日常を見てみましょう。

   自分が暇であることが社員の幸せ、ひいては会社のためでもあるとい
  う考えのもと、今日もトランプゲームの連勝記録に挑戦しているシステ
  ム管理者のAさん。あと少しでキングが微笑んでくれるというところで
  目の前の電話が鳴り響きました。

  「ファイルが壊れたんです」

   電話の主は総務のBさんでした。話を聞いてみると二時間がかりで作っ
  た大切な資料を古い版で上書きしてしまったようです。泣きそうな声で
  訴えるBさんをなだめながら、Aさんは受話器を置きます。
    Z株式会社ではこういう時のために、N社製のストレージシステムを
  導入したばかりでした。このシステムはスナップショット機能を持って
  いるので、Bさんが壊してしまったファイルも復元できるはずです。
   確認したところ一時間前のスナップショットが最新のようです。Aさ
  んはファイルを一時間前の状態に戻してBさんに渡しました。

  「ありがとうございました」

   完全に復元することはできませんでしたがBさんは喜んでくれました。
  最初から作成することを考えるとずいぶんと楽ですしね。でも、本当は
  もっとスナップショットのスケジュール回数を増やして、Bさんのファ
  イルが完全に復元できるようにしたい。Aさんはストレージ装置のマニュ
  アルを手に取ります。何度読んでも、最大スナップショット回数二百回
  という数字は変わりませんでした。十日間のスナップショットを保持す
  るためには一時間に一度以上のスケジュールは組めないのです。
   Aさんはため息をつきながらマニュアルを閉じました。と、そこで、
  再び電話が鳴り響きました。

  「湾万だが、Aくんかね。実は相談があるだが………」

   社長の湾万一郎(わんまんいちろう)からの電話です。湾万は途方もな
  いことを思いついては相談してくるので、情報システム部員から恐れられ
  ていました。

   Aさんは、思わず受話器を握りしめました。

 (つづく)


   Z株式会社ではスナップショットの回数を増やしたいという要望を持っ
  ています。ZFS を使うと回数に制限なくスナップショットをスケジュー
  ルすることができます。しかもある瞬間のトランザクションポイントが記
  録されるだけなので、パフォーマンスに与える影響はほとんどありません。

   このような機能を持つ ZFS というのはどういうファイルシステムなので
  しょうか?

   ZFS はサンマイクロシステムズが開発した、論理ボリュームマネージャ
  を統合するファイルシステムです。主に次のような特徴を持っています。

   ◆ トランザクション型のファイルシステムです。常にデータの一貫
       性が保たれます。

   ◆ 重複しているデータについては参照のみが記録されるため、スナッ
     プショットやクローンによって無駄に容量が増えることがありま
     せん。

   ◆ インターフェースや速度が違う多種多様なストレージ装置を一括
     管理することができます。ストライプ、ミラー、RAID 5/6、もし
     くはそれらを組み合わせた冗長構成を組むことができます。

   ◆ チェックサムによりデータとメタデータが保護されます。

   ◆ システムを停止することなく容量を増やすことができます。

   ◆ 可能な限りリソースを使うよう実装されていますので、ハードウェ
       ア投資が無駄なく性能に反映されます。

 
 次回以降Z株式会社を例に、これらの ZFS の機能詳細を紹介していきます。

 (高田 浩生)
世界最高峰の技術で、世界最高性能のストレージを
Copyright 2024 Core Micro Systems Inc., All rights reserved.