テクニカルコラム かんたん♪ZFS
第五回:ZFS ファイルシステム(2010年3月19日発行)
早いもので、もう花の便りを待つ季節になりました。年度末でなにかと
慌ただしい今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
このコラムでは、 よく使われているファイルシステムと ZFS の違いを
ケーススタディをもとにご紹介していきます。
今までのファイルシステムとは一味違う ZFS を活用して面倒なファイ
ル管理の苦労を減らしましょう!
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情報システム部へやってきた根久善太の勧めに従い、 Nexenta OS を
試してみることにしたAさん。インストールを無事に終え、ストレージ
プールを作成しました。次はファイルシステムの作成です。
「じゃあ、作成したストレージプールに実際のファイルを格納する領域
を作ってみましょう」
根久はコンソールからコマンドを打ちました。
# zfs create tank/data
# zfs list
NAME USED AVAIL REFER MOUNTPOINT
tank 476K 299.5G 21K /tank
tank/data 18K 299.5G 18K /tank/data
「これでストレージプール tank に data という ZFS ファイルシステ
ムが出来ました。自動的に /tank/data にマウントされるので、すぐ
に使うことができます」
「なるほど、これも簡単だね」
「ファイルシステムの細かい設定は、プロパティに値を設定することで
行います。例えばデータの冗長度を設定して見ましょう」
# zfs set copies=2 tank/data
# zfs get copies tank/data
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
tank/data copies 2 local
「copies はデータの複製数を指定するためのプロパティです。 デフォ
ルトではメタデータは二つ、データは一つのコピーが格納されます。
copies = 2 とすると、 メタデータは三つ、データは二つになります。
これにより、もしデータ破壊が起きても、もう一方のコピーを使用し
て回復することができます」
「他にはどんなプロパティがあるんだい」
「quota やチェックサムアルゴリズム、データ圧縮、ACL 継承方法など
があります。詳細は Solaris ZFS 管理者ガイドを見てください」
「ファイルシステムを NAS として使用するにはどうすればいいんだい?」
「それもプロパティから設定できます」
# zfs set sharenfs=on tank/tank
「とすれば NFS で共有されます」
# zfs set sharesmb=on tank/tank
「とすれば CIFS で共有されます。もちろんこれ以外にも若干の設定が
必要です。機会があれば説明したいですね」
「少しかっこいい機能も使ってみたいな」
「じゃあ、次はスナップショットを試してみましょう」
(つづく)
■ 参考文献
(1) サンマイクロシステムズ、"Solaris ZFS 管理ガイド"、
Part No. 819-6260-15、2009 年 4 月
(高田 浩生)